毎日新聞

全国の有名ホテルのレストランなどで、メニューの表示とは異なる食材が使われていたことが次々と発覚している。メニューを高級感のあるものに「偽装」することで華やかなイメージを演出し、客を引きつけていた形だが、コスト削減を迫られる業界の事情が背景にあるとの指摘もある。一方で、メニュー表示に関する法律の規制があいまいなため「現場任せ」になっていた実態もある。 スーパーの店頭などで売られる食材の表示基準は、日本農林規格(JAS)法によって定められている。一方で、レストランのメニューにはJAS法は適用されず、表記方法は店舗に任されているのが実情だ。 土井久太郎 国際教養大学元特任教授は「安い材料を使うくらい、どのホテルでもやっているという業界特有のムラ社会の甘えがあったのではないか。周囲が気付いても言い出しにくい空気がまん延していたのだろう。業界全体の問題として改善に取り組むべきだ」と指摘する。